Monday, July 12, 2010

22歳になりました(小川ひ)

ヨコエビの小川です。

最近、一つ歳をとりました。
そういえば、「22」という字が交接しているヨコエビに見えます。
どこか似てませんか?似てないか・・・


さて、ここ数日の動向を以下に書き連ねます。
No.は、4月からの調査を通し番号で数えたものです。


・No.29 東浜調査

 7月10日、三番瀬に放置してあるトラップを見にゆきました。
 最大干潮は9時半。立ち上がりがちょっと早めです。

 さっそく付いてるじゃないすか。
 30日にチェックした時には確認できなかった、ヒゲナガヨコエビ属Ampithoeの一種です。
 画面中央よりやや上、スポンジの脇にくっついてます。

 それと、またもや拾ってはいけないものを・・・

杭を触っていたら、ちょっと気になって外してみました(これがいけないんですよね)。
ムラサキイガイと、ベニオゴノリと、シロボヤと、何か色々くっついてます。

バットの上で洗って、その水をネットに入れて、残ったものを持ち帰りました。すると・・・

ヒゲナガヨコエビ属
Ampithoe 15
ドロクダムシCorophiidae 39
Melita 3



 ちょっと目つきが悪いですが、メリタ(*1)です。
 経験上、Ampithoeは海藻,Corophiidaeは構造物全般,Melitaはカキ殻などにそれぞれ多い、という傾向があります。杭の付着物はこうした条件をうまく満たしています。


・No.30 谷津干潟市民調査
 11日、谷津干潟に行きました。
 あの幻の巻貝が得られるなど、非常に興味深い日となりました。追って、海上大先生がご投稿下さる・・・といいな・・・

 ヨコエビは大体いつも通りです。
 向かって左の方にヒゲナガヨコエビ属Ampithoe(*2),真ん中と右はMelita(*3),下の白飛びしてるのがドロクダムシ科Corophiidae(*4)です。
 谷津の優先3種群、というか、むしろこの3つしかいません。

 というわけで、今回のヨコエビはヒゲナガヨコエビ属Ampithoeです(*2)。
 東京湾の干潟でみられるヨコエビとしては最大級で、大きいものは2cm以上あります。
 アオサなど海藻の上によく見られ、緑色~褐色まで、体色には幅があります。眼が紅いです。 
 褐色の斑点があること、尾部が短めなことなどが特徴です。


 例の” ナゾヨコエビ”や、ドロクダ地獄については、まだまだ書けることがありません。
 続報は先延ばしです。

 そういえば、今年の笹にはこんなお願いがかかっていました。
 一度に沢山拾うのはもうこりごり、という切実さは伝わってきますが、夢がありません。


追記
(*1) ヒゲツノメリタヨコエビ Melita setiflagella
 第2触角の鞭部に大量の剛毛が生えていることが特徴です。

(*2) モズミヨコエビ Ampithoe valida
 似た種と見分けるには10個近いポイントを見なければならないので、割愛します。とにかく、私の調査で、東京湾の各地で得られたAmpithoeは全て本種でした。

(*3) シミズメリタヨコエビ Melita shimizui
 谷津のメリタは全て本種でした。第1触角の副鞭は目立たない,オスの第2咬脚は角ばらない,腹節側板は尖らない、第3尾肢の先端に節が付加されないなど、ないないづくしの地味な感じのメリタです。

(*4) トンガリドロクダムシ Monocorophium insidiosum
 谷津のドロクダは全て本種でした。外来種として認知されている数少ないヨコエビです。オスの頭頂が「とんがる」のでこの名がありますが、他の種でも「とんがる」のであてにはなりません。

小川洋

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