ヨコエビの小川です。
最近、一つ歳をとりました。
そういえば、「22」という字が交接しているヨコエビに見えます。
どこか似てませんか?似てないか・・・
さて、ここ数日の動向を以下に書き連ねます。
No.は、4月からの調査を通し番号で数えたものです。
・No.29 東浜調査
7月10日、三番瀬に放置してあるトラップを見にゆきました。
最大干潮は9時半。立ち上がりがちょっと早めです。
さっそく付いてるじゃないすか。
30日にチェックした時には確認できなかった、ヒゲナガヨコエビ属Ampithoeの一種です。
画面中央よりやや上、スポンジの脇にくっついてます。
それと、またもや拾ってはいけないものを・・・
杭を触っていたら、ちょっと気になって外してみました(これがいけないんですよね)。
ムラサキイガイと、ベニオゴノリと、シロボヤと、何か色々くっついてます。
バットの上で洗って、その水をネットに入れて、残ったものを持ち帰りました。すると・・・
ヒゲナガヨコエビ属Ampithoe 15
ドロクダムシCorophiidae 39
Melita 3
ちょっと目つきが悪いですが、メリタ(*1)です。
経験上、Ampithoeは海藻,Corophiidaeは構造物全般,Melitaはカキ殻などにそれぞれ多い、という傾向があります。杭の付着物はこうした条件をうまく満たしています。
・No.30 谷津干潟市民調査
11日、谷津干潟に行きました。
あの幻の巻貝が得られるなど、非常に興味深い日となりました。追って、海上大先生がご投稿下さる・・・といいな・・・
ヨコエビは大体いつも通りです。
向かって左の方にヒゲナガヨコエビ属Ampithoe(*2),真ん中と右はMelita(*3),下の白飛びしてるのがドロクダムシ科Corophiidae(*4)です。
谷津の優先3種群、というか、むしろこの3つしかいません。
というわけで、今回のヨコエビはヒゲナガヨコエビ属Ampithoeです(*2)。
東京湾の干潟でみられるヨコエビとしては最大級で、大きいものは2cm以上あります。
アオサなど海藻の上によく見られ、緑色~褐色まで、体色には幅があります。眼が紅いです。
褐色の斑点があること、尾部が短めなことなどが特徴です。
例の” ナゾヨコエビ”や、ドロクダ地獄については、まだまだ書けることがありません。
続報は先延ばしです。
そういえば、今年の笹にはこんなお願いがかかっていました。
一度に沢山拾うのはもうこりごり、という切実さは伝わってきますが、夢がありません。
追記
(*1) ヒゲツノメリタヨコエビ Melita setiflagella
第2触角の鞭部に大量の剛毛が生えていることが特徴です。
(*2) モズミヨコエビ Ampithoe valida
似た種と見分けるには10個近いポイントを見なければならないので、割愛します。とにかく、私の調査で、東京湾の各地で得られたAmpithoeは全て本種でした。
(*3) シミズメリタヨコエビ Melita shimizui
谷津のメリタは全て本種でした。第1触角の副鞭は目立たない,オスの第2咬脚は角ばらない,腹節側板は尖らない、第3尾肢の先端に節が付加されないなど、ないないづくしの地味な感じのメリタです。
(*4) トンガリドロクダムシ Monocorophium insidiosum
谷津のドロクダは全て本種でした。外来種として認知されている数少ないヨコエビです。オスの頭頂が「とんがる」のでこの名がありますが、他の種でも「とんがる」のであてにはなりません。
小川洋
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