海洋生態学研究室の小川です。
ヨコエビ相の把握を目的として、
日々ヨコエビを獲りまくっています。
最近は生息密度を調べるため、定量調査に手を染めています・・・
ここ1週間ほど三番瀬に通っているので、
その様子をかいつまんでご紹介します。
<18日>
やや風の強い日でした。
ふなばし三番瀬海浜公園の西側、
市川市東浜が今回のフィールドです。
波打ち際でアマモ発見!
沿岸域に生える海草の一種ですが、三番瀬では滅多に見かけません。
とりあえず、不織布のネットに入れてバケツの中で洗い、残ったものを持ち帰って、1株あたりのヨコエビの種構成を見ます。
葉の上に何やら見慣れない奴がいると思ったら・・・
Jassa属の一種と思われます(*1)。
この属は自己初記録!
オスの手(2nd gnathopod)が大きな鎌状になっていて、男ゴコロをくすぐります。焼きが入ったような色彩もステキ。
この1株だけで、219匹も採れました。佃煮にしようかな(笑)
ふと空を見上げると、黒い影が・・・
鳥を見に来られている方によると、ハシボソミズナギドリという種類だそうです。
ミズナギドリの仲間は一度だけ小笠原で見たことがあり、外洋のものだとばかり思っていましたが、風を避けて内湾に入ることもあるらしい・・・
某洋画の如く、頭上をかすめ、集団で乱舞する鳥・・・
迫力に圧倒されました。
<26日>
やはり風がある日。
今度は、砂浜の近くと波打ち際の近くとでアオサを採り、表面のヨコエビを集めます。集めたヨコエビを調べ、場所によって種類に違いがないか調べます。
アオサは、緑のビニールみたいな感じの海藻です(写真は別日の調査時のもの)。「青のり」の一部製品は、これが原料です。
少し歩くと、こんな方に遭遇。
干潟に置き去りにされたハシボソミズナギドリ。乱舞していた内の一羽でしょうか。
こうなってしまっては自力での復帰は難しそうです。
内湾だからといって安心はできないらしい・・・
さて、ヨコエビの方はというと・・・深さによる違いは特に見出せませんでした。
アマモ場から流れ着いたと思っていたJassaもなぜか岸辺のアオサから採れたりしてるし・・・レア感が薄まります。
もっと深いところまで行くか、別の切り口から攻めるか、ちょっと考えます。
小川洋
追記
(*1)フトヒゲカマキリヨコエビ Jassa slatteryi
東京湾各地のサンプルを見直すと、4種ほどのJassa属が見つかりました。
三番瀬のものはフトヒゲカマキリヨコエビ(単に「カマキリヨコエビ」と呼ばれることもある)という種です。
全体に細身なのが特徴です。
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