Thursday, July 22, 2010

最近のできごと -水田調査と日常-

湖沼生態学研究室の成島です。
ブログ投稿をサボっている間に22歳になっていました。
最近の水田の様子です。
6月末から中干し(水を抜くことで稲の根っこの成長を促して、稲を強く育てるための作業)が始まり、ミジンコたちがすっかり姿を消してしまっていました。
かわりに出会えたのはこちら!!

生き物たちの足跡が、田んぼに残っていました。
これはサギの仲間の足跡。
ケモノの足跡……だれかしら?
それから約3週間経った今週の火曜日、再び田んぼに水が入れられました!
これからまたミジンコが出始めるはず。
どんな種類が出てくるか楽しみです。
話題は変わって日常の話を。
Cathyが屋上でオニビシの実験をしているので、研究室のみんなでよくお手伝いをしています。
オニビシを育てているタンクが大きいんです、なんと300L入ります…!!
様子はこんな感じ。
屋上は太陽が近い+コンクリートの照り返しで尋常じゃない暑さです。
そのためみんな作業の時は麦わら帽子装着で挑みます。
ステキですね、某ドラマを彷彿とさせる光景です。
夏の野外作業では帽子が欠かせませんね!!
フィールドワークに行くみなさま、熱中症には気をつけましょう~。
(成島みゆき)

Monday, July 12, 2010

22歳になりました(小川ひ)

ヨコエビの小川です。

最近、一つ歳をとりました。
そういえば、「22」という字が交接しているヨコエビに見えます。
どこか似てませんか?似てないか・・・


さて、ここ数日の動向を以下に書き連ねます。
No.は、4月からの調査を通し番号で数えたものです。


・No.29 東浜調査

 7月10日、三番瀬に放置してあるトラップを見にゆきました。
 最大干潮は9時半。立ち上がりがちょっと早めです。

 さっそく付いてるじゃないすか。
 30日にチェックした時には確認できなかった、ヒゲナガヨコエビ属Ampithoeの一種です。
 画面中央よりやや上、スポンジの脇にくっついてます。

 それと、またもや拾ってはいけないものを・・・

杭を触っていたら、ちょっと気になって外してみました(これがいけないんですよね)。
ムラサキイガイと、ベニオゴノリと、シロボヤと、何か色々くっついてます。

バットの上で洗って、その水をネットに入れて、残ったものを持ち帰りました。すると・・・

ヒゲナガヨコエビ属
Ampithoe 15
ドロクダムシCorophiidae 39
Melita 3



 ちょっと目つきが悪いですが、メリタ(*1)です。
 経験上、Ampithoeは海藻,Corophiidaeは構造物全般,Melitaはカキ殻などにそれぞれ多い、という傾向があります。杭の付着物はこうした条件をうまく満たしています。


・No.30 谷津干潟市民調査
 11日、谷津干潟に行きました。
 あの幻の巻貝が得られるなど、非常に興味深い日となりました。追って、海上大先生がご投稿下さる・・・といいな・・・

 ヨコエビは大体いつも通りです。
 向かって左の方にヒゲナガヨコエビ属Ampithoe(*2),真ん中と右はMelita(*3),下の白飛びしてるのがドロクダムシ科Corophiidae(*4)です。
 谷津の優先3種群、というか、むしろこの3つしかいません。

 というわけで、今回のヨコエビはヒゲナガヨコエビ属Ampithoeです(*2)。
 東京湾の干潟でみられるヨコエビとしては最大級で、大きいものは2cm以上あります。
 アオサなど海藻の上によく見られ、緑色~褐色まで、体色には幅があります。眼が紅いです。 
 褐色の斑点があること、尾部が短めなことなどが特徴です。


 例の” ナゾヨコエビ”や、ドロクダ地獄については、まだまだ書けることがありません。
 続報は先延ばしです。

 そういえば、今年の笹にはこんなお願いがかかっていました。
 一度に沢山拾うのはもうこりごり、という切実さは伝わってきますが、夢がありません。


追記
(*1) ヒゲツノメリタヨコエビ Melita setiflagella
 第2触角の鞭部に大量の剛毛が生えていることが特徴です。

(*2) モズミヨコエビ Ampithoe valida
 似た種と見分けるには10個近いポイントを見なければならないので、割愛します。とにかく、私の調査で、東京湾の各地で得られたAmpithoeは全て本種でした。

(*3) シミズメリタヨコエビ Melita shimizui
 谷津のメリタは全て本種でした。第1触角の副鞭は目立たない,オスの第2咬脚は角ばらない,腹節側板は尖らない、第3尾肢の先端に節が付加されないなど、ないないづくしの地味な感じのメリタです。

(*4) トンガリドロクダムシ Monocorophium insidiosum
 谷津のドロクダは全て本種でした。外来種として認知されている数少ないヨコエビです。オスの頭頂が「とんがる」のでこの名がありますが、他の種でも「とんがる」のであてにはなりません。

小川洋

Sunday, July 11, 2010

スペイン優勝おめでとうございます!

こんにちわ。
両チームの国家斉唱から記憶のない大野です。はじめまして!
このブログに投稿させてもらうのは初めてなので少し、自己紹介をさせてもらいます。

神奈川生まれ群馬育ちのピチピチの21歳。
趣味はサッカーとぱそk…。湖沼生態研究室に所属し、「ツボカビ」の研究をさせてもらっています。

顕微鏡とクリーンベンチが友達です。あと研究室のみんなです。

今回は僕の研究分野の紹介に併せて、ツボカビの写真を数枚紹介させてもらいます。


まず1枚目。
これは同じ研究室の小川さんが山中湖の湖水を採ってきてくれた際に発見したツボカビです。
珪藻についているかわいいポチポチがツボカビです。




2枚目。
さきほどの写真のものに染色液を加え、UVを照射し、ツボカビを光らせています。
少し、微妙な写真なのですが、このようにツボカビであるかないかを判別します。



3枚目。
これは印旛沼サンプルから発見したツボカビの殻です。胞子体が遊走子を放出するとこのような殻が残ります。すごく、壺です。
珪藻とこのツボカビは寄生関係にあるため、ツボカビのついていた細胞は空になっています。


僕の研究は、このように顕微鏡でサンプルを観察しながら、印旛沼におけるツボカビの寄生率の調査をしています。
ほとんどの時間、顕微鏡をのぞいているので、ブルーベリーは必須となります。

このほかにも、十和田湖のサンプルや霞ヶ浦のサンプルから発見したものの写真もあるのですが、次回のお楽しみとさせてもらいます。

夏休みを使って全国各地に旅行に行くみなさん。湖水サンプル、待ってます。


拙い文章ですが少しでもツボカビについて知ってもらえたなら光栄です。

次回「ツボカビ祭 ~ツボフェス~」。お楽しみに!


Thursday, July 01, 2010

新兵器を投入しました(小川ひ)

ヨコエビの小川です。

5/23から私も盤洲(小櫃川河口干潟)の実習についてゆきました。そして、たくさんのヨコエビに出会いました。濃密な3日間でした。
得られた標本はロット数だけで60弱、個体数にすると400超。種類を見ると、少なくとも11属(これまで湾内で私が得た属の9割以上!)。中にはこれまで見たことのない謎のものもいて・・・
これについては、正体が分かり次第、続報を出します。乞うご期待!

さて、小櫃の興奮さめやらぬ28日、お馴染みの三番瀬に行きました。
今回は表題にある新兵器の登場です。

スポンジです。
あの四角くて黄色いキャラクターとは関係ありません(あれは海綿がモデルでしょう)。

養老川河口で拾ったスポンジに大量の生物が付着していた、という情報を受け、ならば三番瀬でも、と思い、試験的にスポンジを設置して経過観察を行うことにしました。
杭の根元に結び付ける形で、流されないよう工夫しました。

右はその様子です。




ある杭に結んでいた時のこと。水が濁っていて手元が見えません。ふと、「もちっ」とした感触が・・・
「?!」
何やら弾力のある柔らかい物体が、杭に付着しているようです。
恐る恐る握りしめて水から揚げると・・・

泥です。筋っぽい感じで固まっています。
嫌な予感がしましたが、魔が差して、持って帰ってしまいました。



泥の塊を・・・

開けてみると・・・

何か出てきたぞ・・・















ドロクダムシ(Corophiidae)の一種です。(*1)
”泥”の”管”を作ってその中に棲んでいます。だから泥が筋っぽかったんですね。
第2触角がでかくて太いです。種類によってはもっともっと目立ちます。
こいつらはヨコエビのくせにあまり横向きになりません。

そして嫌な予感的中。
まだ泥の塊を半分くらいしか崩していないのに、個体数がヤバイです。

30mlのポリ瓶。
底一面に見える白い者共は全てドロクダです。

まだ小櫃のサンプル整理終わってないのに!
毎週スポンジ見に行かなきゃならないのに!
謎のヨコエビの正体を突き止めたいのに!(*2)

果たしてドロクダ地獄は終わるのか、続報をお楽しみに・・・

(小川洋)



追記
(*1)アリアケドロクダムシ Monocorophium acherusicum
 全ての個体を見直したわけではありませんが、成熟していると思われる大型の個体を見ると、例外なく本種でした。尾節の構造や触角に生えている棘によって他属や他種と区別できます。

(*2)フサトゲモクズ Hyale affinis → Protohyale affinis
 フサモクズH. barbicornis(→ Ptilohyale barbicornis)と紛らわしいですが...
 今のところ盤洲でのみ確認しています。非常にカラーバリエーションが豊富です。


 (追記の追記)
 2002年に属位変更があったらしく、旧Hyale属の状況が大きく変わりました!

6月23日~27日 潟合宿@小櫃川

こんにちは、風呂田研の馬渡です。
後ろがつかえてるとのことで、記憶がまだ鮮明なうちにアップです。
今回は3年生の実習に同行し、前半は実習のお手伝い、後半はWIJの干潟市民調査リーダー養成講座を受けてきました。

こちらの写真は1日目の様子です。
土砂降りの中みなさんあくせくしています。

まるで戦地に赴いた兵士です。1名元気いっぱいの方が・・・
3年生も大変そうでした。
あんな悪天候の中頑張ってふるいをふるう3年生ははたから見てて涙ぐましいものが・・・

2日目は1日目とは打って変わっていい天気に恵まれました。
みんなが頑張って調査している中、干潟で小学生と一緒に楽しく遊んでました。


2日目の調査風景です。風呂田先生が指導している真後ろで写真を撮る古瀬さん。結構シュールな図ですね笑

3日目からはWIJの指導のもと、3年生たちとは別行動で動いていました。
市民調査をしていくうえで干潟で指導を受けたり、講義を受けたりしました。

4日目には高校生や3年生たちと共に市民調査の実践をしました。
ちゃんと指導できているのか正直不安な面もありましたが、いい子ばかりだったので特に問題は起きませんでした。よかったよかった。

ざっとでしたが、以上が潟合宿の全貌でした。小櫃川は本当にでかいなぁと谷津干潟の人は思いました。


最後に風呂田先生。なんか研究室にある6月のカレンダーによく似てますね。
気になる人は5506で比べてみてね。

異動

久々の投稿です。鏡味です。 東邦大学理学部の湖沼生態学研究室は2018年3月をもって解散することとなりました。 研究室が始まったのが2007年、53名の学生が卒業しました。研究室は学生や研究員の方々の研究・サポートなしにはありえませんでした。今まで本当にありがとうございま...